ピル処方数日本一【ケイ・レディースクリニック新宿】ピル処方数日本一【ケイ・レディースクリニック新宿】
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よくある質問

ピルで排卵しなくなるのは不自然な気がします。大丈夫ですか?

果たしてコンドームを使うことは「自然」なのでしょうか?という疑問はさておき、実はピルを飲まないよりも飲んでいた方が、より「自然」です。なぜピルを飲んだ方が自然なのか、これを説明していきます。
(医師も含め)勘違いしている方が非常に多いのですが、生物学的には「女性が毎月排卵するのは本来の姿ではない」のです。当然の事ながら、妊娠中は排卵しません。つまり妊娠していないから排卵するのです。それでは、妊娠している状態と、妊娠していない状態、一体どちらが「自然な状態」「本来あるべき姿」なのでしょうか?
少し考えてみてください。




答えは「妊娠している」状態です。
ライオン、シマウマ、キリン、ニホンザル、チンパンジー、ありとあらゆる全ての動物は生きている限り子作りを続けます。コンドームを使って交尾するゴリラがいたら大ニュースです。(ちなみに閉経という現象が確認されているのはヒトだけです。生殖能力を失った後も生きる事ができる稀有な種といえます)生殖を行わない生物は報告されていません。すなわち、生物の本質は生殖行為である、とも言えます。出来る限り生殖に時間とエネルギーを費やすというのは、“生きている限り心臓が動いている”のと同じくらい当然の話です。食べ物を探す、交配相手を探す、野生動物の行動はこの2点に集約されます。哺乳類に限りません。爬虫類、鳥類、昆虫、全てそうです。例外はありません。生殖様式は違えど、およそ20億年前、地球上に初めて真核生物が誕生した時から連綿と続く不変の原理です。仮に繁殖に充分な個体数を次世代に残せなかったらどうなるか?その種はやがて絶滅するでしょう。つまり、絶滅を避けるには、できる限り多くの子孫を残すしか道はありません。実際、数多くの種がこの地球上に誕生し、90-99%は絶滅しました。絶滅した種の数は50億から500億にものぼると推定されています。
我々は哺乳類なので、哺乳類に話を戻しましょう。哺乳類の起源はかなり古く、三畳紀後期の2億2500万年前には、最初の哺乳類といわれるアデロバシレウスが生息していました。そこから2億年以上に渡って様々な種が出現しては絶滅し、を繰り返しました。ヒト属とチンパンジーの共通祖先が分岐したのは500万年前とされています。(種の間で観察される塩基置換数から、生物の種が分かれた年代を推定することができます。)ご存知ないかも知れませんが、100万年前のヒトとこれを読んでいるあなたの体の仕組みは完全に同一です。100万年前と今では文明の差はあるかも知れませんが、脳の容量や機能は完全に同一です。タイムマシンに乗って100万年前に行き、当時の赤ん坊を連れてきて育てたら、私たちと同じ言語を操り、スマホを使いこなすことでしょう。タイムマシンに乗って100万年前に行き、当時のヒトとセックスしたら、子孫を残す事ができます。同じ種である、という事はそういう事です。
現存する約4000種の哺乳類の中で、避妊する生物は当然ヒトだけ、です。それでは避妊という行為はヒトに備わった特徴なのでしょうか?今から1万年前に避妊しているヒトがいたでしょうか?当然いないはずです。文字の存在すら怪しいのに、避妊という概念が成立するわけがありません。ヒト属に限ってみても、500万年ほどは避妊という行為とは無縁でした。つまりヒトという種の間に「避妊」という概念が広まったのはごくごく最近の事なのです。こうやって考えると、性的に成熟した後、ずーっと妊娠しているのが「ヒトとして当たり前」であることが容易に理解できると思います。普通は出産後半年も経たずに排卵が復活し、妊娠可能になりますから、性的に成熟したら死ぬまで妊娠し続ける。妊娠している間は排卵もしない。これが極めて“自然な状態”です。冒頭の「女性が毎月排卵するのは本来の姿ではない」という意味がご理解頂けたかと思います。

ギネスブックによると18世紀ロシアのバッシリエフという方は生涯27回の出産で69人を出産したそうです。(双子を16組、三つ子を7組、四つ子を4組)女性は一生のうちに15ー20人ほど出産する能力がありますし、数百万年はそれを続けてきました。これに比べ現代女性は出産数が極端に少ないです。私が産科病棟で働いていた時期でも3人以上出産している方は数えるほどしかお会いした事がありません。出産しない理由はいくつかありますが、経済的な制限が主なものだと考えられます。内閣府の調査によると大学卒業までにかかる費用(養育費+教育費)は全て公立校に通った場合であれば約2700万、全て私立校に通った場合であれば、約4100万円だそうです。子供が3人いれば最低8000万(!)はかかる計算です。平均生涯賃金(大卒で60歳まで働いた場合)は3億弱ですから、子供は一人、せいぜい二人まで、というのも頷けます。「3人目を妊娠した。子供は可愛いので本当は産みたい。でも冷静に考えると、とても養っていけない。」こういった理由で悩みに悩んで泣く泣く中絶手術を選択するご夫婦にも大勢お会いした事があります。身の回りに一人っ子や二人兄弟しか居なければ、「生涯に妊娠するのは数回」「妊娠するのは特別な状態」だと勘違いするのも無理はありません。しかし、繰り返しますが、哺乳類のメスは命が尽きるまで妊娠し続けるのが当たり前です。

婦人科学観点からも、妊娠しているのが当然であることを示す証拠があります。卵巣癌、子宮体癌の発生率は生涯の妊娠期間に比例して低くなります。つまり、出産回数が多いければ多いほど(=排卵回数が少なければ少ないほど)これらの癌にかかりにくく、少なければ少ないほど(=排卵回数が多ければ多いほど)これらの癌に罹りやすくなる、という事です。言い換えれば「妊娠しないことは体に悪い」とも表現できます。低用量ピルの服用者は服用期間に比例して、これらの癌に罹りにくくなる事実とも合致します。

「妊娠している方が自然」「妊娠している方が体にいい」これらをきちんと理解したとしても、「じゃあ今から子作りします」とはならないでしょう。予算の問題もあるでしょうが、産んだからには責任が出てきます。きちんと育てなければいけません。子育てには労力が必要です。産みっぱなしで道端に放置するわけにはいかないですね。それでは、どうすれば自分の体を守れるのでしょうか。お察しの通り、低用量ピルの服用が唯一の解決策です。低用量ピルに含まれているホルモンは、体内を妊娠と同じ状態に保ちます。もちろん、排卵もしません。ピルは排卵を「無理に抑えている」と勘違いしている方がいますが、その考えは誤りです。妊娠中は排卵しない、のが胎盤哺乳類の基本的な機能です。「ピルを飲んで排卵を抑えるのは身体に負担はかからないんですか?大丈夫ですか?」という質問は、妊婦さんに向かって「あなたは妊娠によって無理に排卵を抑えているのですよね。身体に負担はかからないんですか?大丈夫ですか?」と尋ねるようなものです。

現在ピルを服用している方は、体に良いことをしているのです。安心して服用を継続して下さい。服用していない方は(健康のために)直ちに服用をスタートしましょう。