我慢汁で妊娠する可能性はある！避妊方法を解説

性行為時に避妊したつもりでも妊娠するケースがあります。そのうちの一つが「我慢汁による妊娠」です。

性行為において「外出しだから妊娠しない」「射精時にはコンドームをつけたから避妊できている」と、避妊について誤解されている方が多くいます。

しかし、これらは我慢汁による妊娠の可能性が考慮されていないため、妊娠のリスクがある行為です。

本記事では、我慢汁による妊娠について詳しく解説します。「我慢汁では妊娠しない」と勘違いしている方は、本記事を参考にして正しい避妊方法を理解しましょう。

我慢汁でも妊娠する可能性がある【医師監修】

まず大前提として、我慢汁でも妊娠する可能性があることを理解しておいてください。

そのうえで、我慢汁の基礎知識について産婦人科医の三橋裕一先生に解説いただきます。

• 我慢汁とは
• 我慢汁で妊娠する理由

望まない妊娠を回避するために、我慢汁について理解しましょう。

我慢汁とは

我慢汁の正式名称は「カウパー腺液」で、男性器から出る分泌液の一種です。

「カウパー汁」や「先走り汁」などともよばれています。

一般的に我慢汁は無色透明で、粘性のある液体です。我慢汁は「精子の保護」と「性行為時の潤滑剤」の役割があります。

我慢汁が分泌されるタイミングは、性的に興奮して勃起したときです。

興奮の度合いや時間に比例して、我慢汁は継続的に分泌されます。また我慢汁の分泌量には個人差があり、全く出ない方から多く出る方とさまざまです。

そして我慢汁はカウパー腺（尿道球腺）から分泌されるため、本来は精子が含まれません。

我慢汁で妊娠する理由

我慢汁には精子が含まれないのに、なぜ我慢汁で妊娠する可能性があるのでしょうか。

それは、我慢汁に精液の一部が混ざるからです。

我慢汁が分泌されている間は、射精の準備ができており精液がいつでも出せる状態です。

そして、待機しきれない精液の一部が漏れ出すことで、我慢汁と混ざりあいます。

我慢汁は精液と異なり、本人の意識とは関係なく無意識に出るものです。

そのため精液と混ざった我慢汁が女性の腟内に入ることで、妊娠する可能性が出てきます。

我慢汁をみても透明なため「我慢汁だけでは妊娠しない」と思われている方もいるでしょう。

しかし、少量の精液が混ざり妊娠リスクがあることを理解し、正しい避妊をする必要があります。

妊娠のリスクがある行為

次に、我慢汁が関係する妊娠のリスクがある行為について解説します。

妊娠のリスクがある行為は、次の4つです。

• 素股
• コンドームが破けている
• 表裏を間違えてコンドームを着用する
• 男性が自分の性器を触った手で、女性器をさわる

「このくらいなら妊娠しないだろう」と考えていても、これらの行為により妊娠する可能性があります。

確実に避妊するために、妊娠リスクのある行為は避けましょう。

素股

挿入前の前戯としておこなわれる素股でも、妊娠の可能性があります。

素股とは、男性器と女性器をこすり合わせる前戯行為です。そのため、挿入していなくても我慢汁の膣の浅い部分への付着により、妊娠する可能性があります。

精子は1分間に2mm〜3mmのスピードで奥にすすみます。そのため、膣の浅い部分に付着した精子でも腟内に侵入していくため、妊娠のリスクは高まるでしょう。

また、膣付近の素股だけではなく、女性の太ももにこすりつける素股でも、妊娠する可能性があるといわれています。

そのため、素股をする場合はコンドームをつけておこなうことで、妊娠のリスクを低減できます。できるかぎり早くコンドームをつけることで、望まない妊娠を回避しましょう。

コンドームが破れている

コンドームが破れて性行為をしたときも、妊娠のリスクが高まります。

コンドームが破れた場合の避妊成功率は、一般的には85％といわれています。つまり、妊娠の確率は約15％です。正しく避妊具を着用した場合の妊娠率が2%といわれているため、大幅に妊娠リスクが高まります。

コンドームは劣化やこすれが原因で破れることがあります。コンドームの破れを防ぐためには、次のことに注意が必要です。

• 使用期限を確認する
• 正しいサイズを装着する
• 冷暗所で保存する（防虫剤と一緒に保存しない）
• 財布やポーチに入れない

また、使用時には爪で破らないようにも注意しましょう。

コンドームはデリケートな避妊具のため破れないように取り扱い、妊娠リスクを上げないようにしましょう。

表裏を間違えてコンドームを着用する

コンドームを表裏間違えて装着した場合も、妊娠のリスクがあります。

コンドームには表裏があり、男性側と女性側で装着面が決められています。しかし、性行為時の焦りで表裏を間違え付け直すことがあるでしょう。

表裏を間違えた場合、付け直すのではなく新しいコンドームを使う必要があります。なぜなら、我慢汁がコンドームに付着している可能性があるからです。そのまま性行為をすると、精子を膣内に侵入させていることになります。

我慢汁が付着した側を女性側にして付け直すと、妊娠のリスクが高まります。表裏を間違えたコンドームは破棄し、新しいものをつかいましょう。

男性が自分の性器を触った手で、女性器をさわる

男性が自身の性器を触った手で女性器をさわることも、妊娠リスクのある行為です。

指の先に我慢汁がついている状態でそのまま女性の性器を触ったり、指を挿入したりすると妊娠する可能性があります。

そのため女性の性器に触れる際は、男性の手をしっかりとキレイに洗うことが大切です。

性行為後の避妊にはアフターピルがおすすめ

もし、妊娠リスクのある性行為をして不安な場合、避妊にはアフターピルがおすすめです。

ここでは、アフターピルについての次の内容を解説します。

• アフターピルの効果
• アフターピルの種類
• アフターピルの料金

アフターピルを正しく服用すれば、高確率での妊娠回避が可能です。これらを理解し、妊娠の不安から解放されましょう。

アフターピルの効果

アフターピルは、妊娠リスクのある性行為後でも妊娠回避が期待できる、緊急避妊薬です。

妊娠は、排卵期における精子と卵子の受精により実現します。そのため、性行為と排卵のタイミングが重要です。

アフターピルは排卵を遅らせる効果があるため、性行為と排卵のタイミングをずらすことで避妊効果を発揮します。

また、すでに受精していたとしても、子宮胎盤への着床を阻害する効果もアフターピルにはあるため、高確率での妊娠回避が期待できるでしょう。

ただし、アフターピルの効果には有効期間があります。アフターピルの種類にもよりますが、一般的には性行為後72時間以内の服用により高い効果が期待できるとされています。

さらに、アフターピルの効果は時間とともに低下するため、避妊率を高めたい場合にはなるべく早い服用が必要です。

日本で一般的に処方されるレボノルゲストレルの場合、性行為後24時間以内の服用で95％、72時間後の服用で85％と、時間経過とともに避妊率は下がるといわれています。

妊娠の不安がある方はなるべく早く服用しましょう。

アフターピルの種類

日本で処方されるアフターピルには、大きくわけて次の3種類があります。

• ノルレボ錠（レボノルゲストレル錠）
• プラノバール錠
• エラ

それぞれのアフターピルにより、有効時間や妊娠回避率、副作用が異なります。

たとえば、日本で一般的に処方されているノルレボ錠の有効期限は48時間です。それ以降は、妊娠回避率が大幅に低下するため注意が必要です。

一方、エラは120時間以内であれば高い妊娠回避率があるといわれています。

プラノバールは12時間毎、2回に分けて服用するアフターピルですが、悪心や嘔吐が高確率にでるため、現在は使用頻度が少なくなっています。

また、副作用もアフターピルの種類により異なります。一般的には頭痛や吐き気が起こることがあり、個人差はありますがそれほど重症化の心配はないでしょう。

アフターピルの種類と自身の相性により効果や副作用は異なります。まずは、医療機関で相談しアフターピルの種類を決めることが大切です。

アフターピルの料金

アフターピルの料金は、種類と処方するクリニックにより異なります。

アフターピルは保険適用外のため、完全自費負担での支払いです。そのため、1回分でも高額となります。

種類ごとの概算料金は次のとおりです。

• ノルレボ錠（レボノルゲストレル錠）：9,000円〜12,000円前後
• プラノバール錠：4,000円〜6,000円前後
• エラ：8,000円〜16,000円前後

クリニックにより料金は大きく異なるため、詳細の料金は事前にクリニックに確認しましょう。

アフターピルの処方を受ける方法

次に、アフターピルの処方を受ける方法について解説します。

アフターピルの購入には、大きく次の2つの方法があります。

• 産婦人科
• オンラインクリニック

アフターピルを購入したことがない方は、最初は戸惑うことでしょう。アフターピルは、性行為からの経過時間とともに効果が低下していくため、購入方法を事前に確認しておきましょう。

産婦人科

アフターピルは医薬品のため、産婦人科や婦人科などのクリニックで処方してもらうことが一般的です。

アフターピル処方までの流れは次のとおりです。

• 予約
• 受付・問診票の記入
• 医師による診察
• アフターピル処方・購入

問診票の記入や医師による診察では、性行為をした日時や最終月経日、妊娠経験などを聞かれます。そのため、事前にそれらを答えられるようにしておきましょう。

また、男性医師にプライベートの内容を聞かれることに抵抗がある方は、女性医師のクリニックをおすすめします。

オンラインクリニック

時間がない方や、人の目が気になり病院へいきづらい方は、オンラインクリニックでもアフターピルの処方を受けられます。

オンラインクリニックは予約から問診、処方まで、すべてオンラインで完結できるサービスです。待ち時間も自宅で過ごせるため、時間を効率的に使用できるメリットもあります。

また、最短でその日のうちにアフターピルを届けてくれるクリニックもあるため、自身のニーズにあったオンラインクリニックを調べましょう。

実際に病院へいく時間がない方や、抵抗のある方はオンラインクリニックの活用がおすすめです。

アフターピルの購入におすすめのオンラインクリニック

アフターピルは、避妊に失敗した際や性交後に望まない妊娠を避けるために利用される緊急避妊薬です。

ここからは、アフターピルの購入におすすめのオンラインクリニックを紹介します。

あしたのクリニック

あしたのクリニックは、オンライン診療に特化しており、24時間365日対応しています。

国内最安級の料金でアフターピルを提供しており、LINEを通じて簡単に予約や診察が可能です。

最短5分で処方が完了し、即日スピード発送もおこなっています。後払い決済にも対応しており、急な必要性がある場合でも安心して利用可能です。

ソクピル

ソクピルは、最短30分でアフターピルを自宅まで配送するサービスを提供しています。

24時間体制で医師が待機しており、オンライン診療を通じて早期に対応してもらえます。

保険証の提出が不要で、完全匿名で利用できるため、プライバシーを重視する方にもおすすめです。

料金は国内最安級に挑戦中で、後払い決済にも対応しています。

エミシアクリニック

エミシアクリニックでは、オンライン診療を通じてアフターピルの処方が可能です。

最短1時間での発送を実現しており、日本全国どこからでも利用可能です。

アフターピルだとバレないように配慮した梱包で自宅への配送をおこなっています。

また、アフターピルの効果や副作用について詳しく解説しており、服用前に知っておきたい情報を提供しています。

アフターピルの注意点

アフターピルは効果を発揮するため、安全に服用するためにいくつかの注意点があります。

主な注意点は次の3つです。

• 時間内に飲む必要がある
• 副作用がある
• 服用している薬と併用できるか確認する

これらの注意点を守ることで、高い効果を期待しつつ安全にアフターピルを活用しましょう。

時間内に飲む必要がある

アフターピルの効果を高めるための注意点は、有効時間内に飲む必要があることです。

アフターピルは、排卵前であれば排卵を遅らせることで受精を防ぐ効果があります。もしすでに受精している場合でも、子宮への着床を阻害し妊娠を防ぎます。

そのために、性行為してからなるべく早い服用が重要です。

日本で認可され一般的に処方されているノルレボ錠は、性行為後24時間以内の服用で95％、48時間以内の服用で85％と、時間経過とともに避妊率は下がるといわれています。

ただし、120時間以内でも高確率で妊娠回避が期待できるエラを処方しているクリニックもあります。もし経過時間が長い場合は、エラの取り扱いのあるクリニックに相談しましょう。

アフターピルの効果を高めるために、有効時間を意識しましょう。

副作用がある

アフターピルの注意点として、副作用があることを認識しておく必要があります。

不安な性行為をしてアフターピルの服用を考えているけれど、副作用が心配で躊躇されている方は多いでしょう。アフターピルの主な副作用として、次の症状が挙げられます。

• 腹痛
• 頭痛
• 少量の出血
• 嘔吐

これらは一般的にみられる副作用の症状ですが、それほど重症化しないため過度に心配する必要はありません。個人差はありますが、腹痛や頭痛などは24時間程度で治まることが一般的です。

ただし、症状が重い場合は医療機関で受診するようにしてください。

少量の出血は、消退出血といい子宮内膜がはがれることが原因で起こります。通常は出血量も少なく、生理に比べて短期間で治るでしょう。

しかし、アフターピル服用後の副作用で嘔吐した場合は注意が必要です。なぜなら、アフターピル服用後2時間以内の嘔吐は効果が薄まる可能性があるからです。

2時間以内に嘔吐した場合は、処方した医師に相談しましょう。

服用している薬と併用できるか確認する

アフターピルを服用する際は、現在服用している薬と併用できるか確認する必要があります。

ほかの薬との併用によりアフターピルの効果を減少させる場合があります。アフターピルの効果を減少させる薬を「併用禁忌薬」といい、併用してはいけない薬です。

代表的なアフターピルの併用禁忌薬は、次のものが挙げられます。

• 抗けいれん薬
• HIVプロテアーゼ阻害剤
• 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
• 抗生物質
• セイヨウオトギリソウ（セント・ジョーンズ・ワート）

これらの薬やサプリメントはアフターピルの効果を減少させるだけではなく、副作用を強める可能性もあるため、必ず医師と相談してから服用してください。

我慢汁による妊娠に関するよくある質問

最後に、我慢汁による妊娠に関するよくある質問をまとめました。

我慢汁に関する質問内容は次の3つです。

• ゴムを付けて妊娠する確率は？
• 性行為してから何日後に妊娠の初期症状が出る？
• 1回の性行為で妊娠する確率は？

これらの質問の回答について解説するため、妊娠に不安のある方は参考にしてください。

ゴムを付けて妊娠する確率は？

ゴムをつけていても、妊娠のリスクはあります。

正しくコンドームを装着していた場合、つまり挿入から射精まで装着していた場合の妊娠率は約2%です。さらに、排卵日に性行為をした場合には、正しくコンドームを装着しても約5％まで妊娠確率が上がります。

もし、挿入途中からのコンドームの着用や、サイズのあわないものを着用するなど、正しく使用できていない場合には妊娠率が約15%になります。

できるかぎり妊娠率を下げるために、正しくコンドームを装着しましょう。

性行為してから何日後に妊娠の初期症状が出る？

性行為をしたタイミングにもよりますが、妊娠初期症状は性行為後1週間〜2週間後に発生します。

妊娠初期にみられる症状の一つが「着床出血」です。これは、子宮内膜に受精卵が着床して起こる出血のことを指します。

まず、排卵は直近の生理から2週間後に起こり、性行為により受精します。そこから受精卵が子宮に着床するまでが1週間であるため、性行為から大体1週間〜2週間後に着床出血がみられるでしょう。

ただし、着床出血は妊娠した方すべてに起こるわけではありません。また、生理と似た症状でもあるため、妊娠の可能性を感じる方は、性行為後2週間ほどで医療機関への受診をおすすめします。

1回の性行為で妊娠する確率は？

一回の性行為で妊娠する確率は、健康な男女がタイミングをあわせた場合でも約30％といわれています。

もし、避妊を目的として正しくコンドームを着用し性行為をした場合では、約2％の妊娠率です。そのため、一回の性行為での妊娠確率は2%〜30％といえます。

一回の性行為で妊娠する確率は、排卵のタイミングや体調、避妊の方法により異なります。もし妊娠を望まない場合は、まずは正しい避妊方法をおこなうようにしましょう。

まとめ

本記事では、我慢汁と妊娠について解説しました。

一般的には我慢汁での妊娠リスクを知る方は多くはないです。

しかし、実際には我慢汁には精子が含まれることが多いため、妊娠リスクがあることを理解できたでしょう。

そして、もし我慢汁で妊娠すると知らずに性行為をした方のために、性行為後でも妊娠を回避できるアフターピルについて解説しました。

アフターピルは、種類により有効時間が変わります。そのため、性行為後から何時間経つかを把握し、適切なアフターピルの種類を選ぶ必要があります。

本記事の内容を参考に、適切な避妊方法とアフターピルの使い方を理解し、望まない妊娠を回避しましょう。